
音色王国 -第二章-
それは、音色王国のお話。
年に一度開催される音色王国最大イベント「音楽祭」。1週間という長い期間、音楽家達の奏でる音色が大きな大きな会場中に響き渡ります。そこにはプロの音楽家や趣味でやってる演奏家に関係なく、会場のあちこちで演奏が繰り広げられます。そして、そんな中、最も美しい音色を奏でた者には『メロディアス』と呼ばれる王国で最も名誉な称号が与えられます。
さて、この「音楽祭」へ、とある4人も参加していました。「カプリア」はギター1本で王国の頂点を目指している女の子。「チェレス」と「スピネット」は女の子と男の子による2人組みの大道芸人。「シルファ」は亡きおじいさまのためにメロディアスを目指す王女様。「カプリア」は自分自身のために。「チェレス」と「スピネット」は多くの人のために。「シルファ」は大切な1人のために。それぞれ大切な想いを胸にして「音楽祭」に挑みました・・・
そんな「音楽祭」から半年。音色王国は、いつも通り街中に美しい音色が響き渡る生活に戻っていました。そして、この「シャララン広場」にも「あの子たち」の楽しい音色が響き渡っていました。♪タンッタンッタタタンッ♪タンッタタッタッ~~ン♪♪♪そう、あの子たちとは、「チェレス」と「スピネット」。この2人も「音楽祭」に参加していましたが、残念なことに予選で敗退してしまいました。敗退理由はしょっちゅうミス演奏をしていたから。それでも、楽しそうに演奏していた2人の音色は多くの人を幸せにしていました。どうやら2人の当初の目的「多くの人たちを自分たちの演奏で幸せにしたい」は達成出来たようです。でも、「音楽祭」に出てから少しこの子たちに変化が生まれたようです。今までは色んな種類の楽器を使い分けていましたが、スピネットは三味線1本、チェレスはなんと歌声を楽器にした様子。この2人が演奏のスタイルを変えたのは、「音楽祭」でミスが無く、力強い音色を奏でる音楽家たちを見てから。いつも色んな楽器達と楽しくやってきていましたが、これからは1つの楽器を大切にしてやっていくことにした様です。
さてさて、そんな演奏スタイルが変わった2人ですが、2人と一緒になって演奏をしている女の子がいます。見覚えのある女の子だなと思っていたら、その女の子は「カプリア」でした。ギター1本で音色王国の頂点を目指していた彼女がなぜか笛を吹いて「チェレス」と「スピネット」の輪に入って演奏をしています。何があったのか聞いてみると、この子も「音楽祭」に参加して心境の変化があったようです。実はこの子、なんと「音楽祭」では新人賞を取ってしまったんです。当初目標としていた「メロディアス」の称号は取れませんでしたが、それでも立派な賞を取った「カプリア」。ところが、「音楽祭」で偶然にも「チェレス」と「スピネット」の演奏を目撃することになったんです。この子たちの演奏は失敗だらけだけど、聴く人も奏でる本人たちもとっても楽しそう。そんな光景をカプリアはキラキラ輝いて見えたようです。今までがむしゃらにテクニックを磨いて、絶対に失敗をしない演奏を目指してきたカプリアにとって衝撃的だった当時の2人の演奏スタイル。「音楽祭」が終わった後、「カプリア」は、「チェレス」と「スピネット」のもとを訪れました。「チェレス」と「スピネット」も「カプリア」のことを「音楽祭」で見て知っていたようで、3人は話をしているうちにお互い自分達に足りないものに気づき始めたようです。カプリアに足らなかったものは「自由さ」と「楽しむ心」チェレスとスピネットに足りなかったものは「熱意」と「音楽家としての意識」お互い自分達に足りなかったものを意識しだしてから、この子達の音色は少し変化が出てきました。この先、このまま3人で活動していくのかは分かりません。ですが、今は新しい自分達の気持ちを大切にして、新しい音色を奏でる三人なのでした。
そうそう、忘れてはならないのが、シルファ王女のその後のお話。メロディアスを目指していたシルファ王女でしたが、残念ながらメロディアスになることは出来ませんでした。しかし最後まで笑顔を絶やさず演奏し、5位入賞とすばらしい成績を残すことができました。ですが、メロディアスはまだ諦めていないようです。
「音楽祭」から半年後の今日も相変わらず音色王国には美しい音色が響き渡ります。
さてさて、「カプリア」「チェレス」「スピネット」「シルファ」この4人は今後どんな活躍を見せるのでしょうか?
それは、音色王国。
伝えるために伝えるすべを覚え始めた若き音楽家達のお話。