赤い車を改造した移動式のパン屋さん『p&m』は
パン職人のメリチュとウエイトレスのぺティちゃんによって運営されています。
とある日の朝10時、そんな車がぺティちゃんを残して発進してしまいました。
トレーに3個のパンを乗せ、キョトンとして立っているぺティちゃん。
車はどんどん小さくなり、
車から見たぺティちゃんも見る見る小さくなって行きます。
「あれ? あたしまだ乗ってないよ・・・?」
不安な表情ではなく、
首を横に傾けて疑問に満ちた表情を浮かべるぺティちゃん。
この状況がまだ良く飲み込めてないみたいです。
そして、車が見えなくなってしばらくし・・・
「あれ?! あたしまだ乗ってないよっ?!!」
ようやく自分が置いてけぼりにされたことに気づいたぺティちゃんは大慌て。
車に追いつけるはずも無いのに、とりあえず
パンを落とさないように駆け足で車を追いかけることにしました。
【ホクホク王国 -置いてけぼりぺティのお話-】
それはホクホク王国、
置いてけぼりを食らったぺティちゃんのお話。
さてさて、置いてけぼりを食らい、
車を追いかけることにしたぺティちゃん。
車を追いかけながら、置いてけぼりの理由を考え始めました。
「あたし、メリチュに何か悪いことしたのかな・・・?
そういえば昨日メリチュのふかふか帽子が美味しそうで
ケチャップをかけてしまったのが悪かったのかな・・・」
と昨日までのことを振り返るぺティちゃんでしたが、
曲がり角から突然、見上げてしまうほど
大きな大きな真ん丸パンが転がって来ました。
大きな真ん丸パンはぺティちゃんの目の前で止まり、
中から出てきたのは、「真ん丸パンハウス博士」のトッポさん。
トッポさんは「真ん丸パンハウス」という真ん丸な家を研究する
ホクホク王国で有名なおじさんです。
そんなトッポさんですが、なんだか様子がおかしいようです。
顔がゲッソリしてて、ぺティちゃんの目の前に倒れこんでしまいました。
「トッポさんっ?! 大丈夫ですか?!」
とトッポさんの姿を見て驚くぺティちゃん
「実は、お腹がペコペコなのじゃ・・・」
とお腹をグーグー言わせるトッポおじさん。
なにやら、真ん丸パンハウスが完成し家の中に入ったは良いのですが、
あまりにも丸すぎてハウスがコロコロ転がり始め、
飲まず食わずで1日中王国を転がってたみたいなのです。
「のどがカラカラでお腹ペコペコのトッポさんにはこのパンですね♪」
とトレーに乗った3個のパンからすぐさま選び出したのは、
「大きなブドウ丸ごとパン」
パンの中に水分たっぷりの大きなブドウを入れたパンで、
のども空腹も満たしてくれるパンです。
トッポおじさんはパクパクとそのパンを食べると
見る見るうちに健康な顔になり、ホクホク言い始めました。
(ホクホク王国のみんなは美味しさを表現するために
食べ物が熱く無くてもホクホクと言います。)
「ありがとよお嬢ちゃん、助かったわい♪」
と元気を取り戻したトッポおじさんは、
お礼に「安全ピンで簡単止めネクタイ」を
プレゼントしてくれました。
以前からネクタイに興味があったぺティちゃんは
喜んで襟のちょっと下辺りにくっつけました。
満足そうに笑みをこぼすぺティちゃんを
見たトッポさんは、軽くお辞儀をすると
また真ん丸パンハウスの扉を開けて入っていきました。
「あっ!トッポさんっ! また転がりますよっ!」
とぺティちゃんのちょっと遅い忠告も虚しく
真ん丸パンハウスはコロコロ転がって行ってしまいました。
しょうがないなという表情を見せるぺティちゃんでしたが
トッポさんなら大丈夫だろうということで、
再びメリチュを追いかけることにしました。
ぺティちゃんの歩くリズムに合わせて軽く揺れるネクタイ。
ちょっとおしゃれになったぺティちゃんはルンルン気分で、
メリチュを追いかけます。
歩いてる途中、
メリチュ家のお向かいに住むメレンゲ作りの得意な
バーロアおばちゃんに飴玉を貰ったり
パター屋さんの小さな女の子マーヤちゃんと出合って
ネクタイを褒めてもらったりしたぺティちゃん。
そんなこんなで、もうお昼になって、
ぺティちゃんはお昼ごはんにすることにしました。
そして、ふわふわの長ぁ~い食パン長椅子で有名な
「食パン公園」に入っていきました。
長椅子に座りトレーに乗った残り2個のパンのうち1個を食べることに。
一つは「とろぉ~りシチューのホワホワパン」
もう一個は「パンの中には苺ケーキが入ってるよ♪パン」
ぺティちゃんはどっちのパンにするか悩んでいます。
「みゅぅぅぅ・・・? こっちぃぃ!」
と元気良く指差したのは
「とろぉ~りシチューのホワホワパン」。
そして、ぺティちゃんは
ホクホク良いながら食べ始めました。
この食パン公園は食パン長椅子だけでなく、
食パンジャングルジムや食パントランポリンなど
楽しい遊具がいっぱいあり、ぺティちゃんと同じ年頃の子達が
楽しく遊んでいます。
ぺティちゃんはシチューパンを食べながら
そんな食パン遊具を見てて自分も遊びたいなぁ
と思い始めました。
でも、ダメダメっ!という感じで首を振って
シチューパンを食べ終えメリチュを探しに向かいました。
ところがっ!
またもや大きな真ん丸パンハウスが食パン公園に入ってきて
ぺティちゃんの目の前に止まりました。
そして、中なら出ていたのはやっぱりトッポさん。
でも、今度は疲れた様子はありませんでした。
どうやら真ん丸パンハウスの乗り方をマスターした様子。
ですが、トッポおじさんはなぜか悩んだ顔をしていました。
「トッポおじさん? 今度はどうしたんですか?」
とちょっと心配そうにトッポさんに尋ねると、
「実は今日、娘の誕生日なのじゃ・・・」
とのこと。
話を聞くと、今日がトッポさんの娘さんの誕生日なのに
プレゼントを用意し忘れていたようなのです。
ぺティちゃんは、トレーに乗った最後の一個
「パンの中に苺ケーキが入ってるよ♪パン」を
トッポおじさんに差し出しました。
「これをどうぞ♪ このパンはお誕生日用に考えたとっておきのパンなんです。」
このパンはぺティちゃんとメリチュが昨日考えた
出来たてホヤホヤのアイデアパン。
誰か誕生日の人に上げたいと思っていたぺティちゃんは
この偶然にとってもうれしそう。
そしてトッポおじさんはお礼に
「真ん丸フレームのダテめがね」をプレゼントしてくれました。
ネクタイに加え、めがねまで掛けてさらにおしゃれになったぺティちゃん。
真ん丸パンハウスに入って娘さんのいる自宅へ向かうトッポおじさんを
見送り再びメリチュを探しに向かいました。
てくてく・・・ てくてく・・・
日が落ちて、辺りがオレンジ色に染まり始めました。
歩き疲れてヘトヘトになりながらも
空っぽのトレーを両手でしっかり持ち運ぶペティちゃん。
すると見覚えの有る場所に行き着きました。
それは、ペティちゃんが置いてけぼりにされた広場。
どうやらペティちゃんは街をぐるりと一周してきたようです。
もしかしたらメリチュが戻ってきてるのでは?
と思ったペティちゃんは辺りをキョロキョロ見渡しました。
すると、最初にパンを販売してた場所に赤い車が止まってて、
メリチュが一人でせっせと働いていました。
「みゃぁ~~~んっ!メリチュ~っ!!」
大きな声で泣きながら、メリチュに抱きつくペティちゃん。
「ペティー?! ちょっとっ何処・・・あれぇ?! おしゃれになってるぅ?!」
「帽子にケチャップかけてごめぇ~~んっ!!」
「え?! 何の話・・・? あっ!! そういえば昨日帽子にケチャップかかってたぁ!!
って今はそんな話じゃなくて何があったのぉ?!」
とペティちゃんがなぜかおしゃれになっていたり、
思わぬ告白に驚きながらも何があったのか心配するメリチュ。
しばらくし、落ち着いたペティちゃんは
メリチュに置いてけぼりにされたことを話ました。
でも、メリチュは置いてけぼりにした覚えが無いようで、
しかも、ずぅ~っとこの場所にいたようです。
実はメリチュもパン粉の買出しに行って戻って来たら
ペティちゃんがいなくなってたのですんごい心配してたようです。
ですが、お客さんもいるし、ちょっと何処かへ出かけてるのかなと思い
この場所にずっといたメリチュ。
不思議そうな顔をして、何が起こったのか考え込むメリチュとペティちゃん。
すると、2人の横を赤い車がゆっくりと通りすぎました。
「ちょっとっ!ペティ! ペティが言ってたのってあの車じゃないのぉ?!」
「あれ?」首を横に傾けて考え込むペティちゃん。
「あれ・・・? あれ? あれぇ!!」
ハッと何かを思い出したかのように、通り過ぎた赤い車を指差すペティちゃん。
どうやらペティちゃんは、その赤い車を自分達の車だと勘違いしていたようです。
そして、その車を駆け足で追いかけて行った後、
買出しに行っていたメリチュの赤い車が戻ってきたみたいです。
「そういうことかぁ~」
といった表情で、何が起こっていたのかようやく理解できた2人。
色々と大変だった2人は「ふぅ~」っとため息をつき、
自分達の車に戻るのでした。
「あっ!」
車へ戻る途中、何かを思い出したように声をだしたメリチュ。
「さっき言ってたけど、帽子にケチャップかけたのペティだったのぉ?!」
と、ちょっと恐い顔になってペティにゆっくり近寄るメリチュ。
そう、あの時ペティちゃんは、思わずケチャップをかけた事を言ってしまったのです。
メリチュに詰め寄られ、足が一歩一歩後退していくペティちゃん。
「あのね・・・ ごめんなさぁ~~いっ!」
と大慌てで逃げて行くペティちゃん。
もうヘトヘトで疲れきってるのですが、、
どうやら、ペティちゃんの追いかけっこはもうしばらく続きそうです。
今度は追いかけられる側として♪
top |